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2017/12/16

竜操者は静かに暮らしたい

カテゴリー: 読書 — chaba @ 08:27

「なろう」作の「竜操者は静かに暮らしたい」、転生ではないけどわりとチートな戦闘能力を持つ主人公のファンタジー。竜が独特の立ち位置を持つ世界での各国の対立や紛争が語られるもので、650話を越える長編なのだけど各話は短めで完結まで読み切りました。とにかくチートな戦闘能力でいろんな騒動を解決したりしなかったりするのですが、当人は実家のパン屋稼業に大の愛着を持っていて、別の土地でもパン屋でバイトするのを魂の休息としてるような人物。緊迫する戦闘も多いのだけど全般的に他人事のような、あまりに冷静な姿勢(冷徹ではなくただ淡々と)でことに当たるのが印象的。そしてだんだんと話が大きくなっていきます。しかし幕切れは、カタルシスはなかなかあったと思うけどなんだかあっけないというか余韻を味わう余地があまりないうちに終わってしまった感じ? 他の作品だと後日談的なものがわりと続いてたりするからそれがあまり無いのが物足りないのかな。

なかなか好感だったので書籍も出てたら買おうかなと思ってみると、1巻だけ出ているようです。しかしKindleでは出てないので保留。いちおう完結しているけどなかなか長いので全部で何巻になるのかなーと思いつつ読み進めると、どうも出版社側の都合で続刊は出ない、どころかレーベル廃止なんだとか。それで出版権は放棄されていて他社からの引き合いもあるのだけど、既刊の市場在庫がまだある状態で新しいレーベルから同作を出しても流通に嫌われるんじゃないかなーという話で保留になってるらしい。このあたりの裏事情を作者自ら明らかにしてくれるのも珍しいと思いますが、そういう状況じゃ電子書籍も出ないわけですよね… 新レーベルで電子書籍だけでも出してくれたら買いたいのだけど、物理書籍無しってわけにもいかないのか。ほとぼりが冷めたら出したいなあとも言われているので、期待しないで待つことにしよう。イラストも「蜘蛛ですが何か?」の人みたいで、独特の色使いと緻密なタッチが好感なだけに見てみたいのだよなー。しかしリアル書籍は置き場所がなあ…

2017/09/25

トリニータス系

カテゴリー: 読書, 雑談 — chaba @ 09:38

トリニータス・ムンドゥス 〜聖騎士レイの物語〜」「ドリーム・ライフ ~夢の異世界生活~」のweb掲載分をようやく読み切り、Kindle版も買って読んだりしている。これらは同じ世界の別キャラ視点での話で、時間的にも微妙に重なっているので直接交流は無いみたいだけど間接的につながりを見せたりする。そもそも前者のほうがメインで後者のほうが外伝ということなのだけど、同時に出版してみたらメインのほうは2巻で止まってるのに外伝のほうは3巻まで出ていて4巻も年内予定で、外伝のほうだけ好調という悲しい展開に。コレはでも解る気がするんだよねえ。どちらも異世界転生もので、能力は高いんだけどなかなかそのハイスペックを発揮できないのが共通した特徴。後者のほうは赤子から産まれるのでポテンシャルは高いし成長速度も異様なんだけど、なかなか無双できるところまで行けないので知識ではわりと無双に近い…わけでもないか。中途半端な知識でいろいろ失敗もしてるしな。片や前者のほうはハイスペックなファンタジー騎士の肉体に貧弱な現代高校生の魂が入り込んでしまったという体で、とにかく何かと弱気でいろいろ読んでいてストレスが溜まる感じなのが辛い。実際に訓練とかしてみると「体が覚えている」感じでわりと動けたりする、しかし実際の殺し合いに対峙するとガクブルになってしまうような脆さが露呈してしまったりとか。だんだん慣れては行くのだけどなにかとこのストレスフルな描写が多くて、それに引っ張られるようにヒロインも妙に悩みがちだったりして、どうにもスッキリしない感。次々に降りかかる悪意に翻弄されまくるし、最終的には打ち負かすにしても、課程がなかなか大変です。で両者とも語り口は基本シリアスなのだけど、「ドリームライフ」のほうが知識無双する中で作者の好みが全開になって、酒造り特に蒸留酒に打ち込む描写が実に細かい。でファンタジーで酒と言えばドワーフ、この蒸留酒がドワーフに全力で支持された結果、ストーリーでも甚大なるインパクトを与えることに。その結果として「ドワーフライフ」が本題なんじゃないかとまで言われ、書籍出版の追加エピソードとして「ドワーフライフ」が恒例になってしまいました。でシリアスなはずの「トリニータス・ムンドゥス」にも書籍版では「ドワーフライフ」が付いてきてしまう事態に。いちおう時系列的にはこちらが少し後になってるので別に矛盾は生じてないのだけど、しかしやはり読み口としてストレスの多い話は好まれないのかなと思った次第。話がどんどん大きくなってくるとなかなか面白いんだけどなあ。いや正直、「なろう」系としてはストレス多めなのでいささか疲れる面もありますが。「ドリームライフ」のほうも単純な無双系じゃなくていろいろ苦労はするのだけど、厳しい環境で徐々にステップアップしていく感じだし、何よりドワーフのインパクトが凄すぎるのでそれどころじゃない感じ?
あと個人的な感想なのだけど、イラストレーターの影響ももしかしてあるのかなと思わなくもない。「トリニータス・ムンドゥス」のほうは和狸ナオ氏、DS版「アトリエ」でキャラデザインしてた人だな。可愛いタッチを描く人なのだけど、頭身高めの本作にはいまいち合致してない気がする。一方の「ドリームライフ」のほうは電柱棒氏、今まで知らなかった人なのだけどかなり好感。特に幼児期のシャロンやメルがものすごく可愛い。リディや母上が美しい。ベアトリスや兄嫁といった今後の女性キャラがどんな感じで出てくるのか楽しみ。タッチも精緻でファンタジーに合ってる印象なので、この人に「トリニータス」のほうも任せたらまた違ったんじゃないかと思ってしまうほど。
両方とも初巻はUnlimitedで無料なのでよろしかったらお試しください。そういえばUnlimited、全然活用してないな。

2016/12/09

幼女戦記

カテゴリー: アニメ, ライトノベル, 読書, 電子書籍 — タグ: — chaba @ 04:59

「幼女戦記」がKindle化されてた。早速買って読んでるけどなにしろ長いし文体も堅めなので時間がかかる。ようやく3巻に入ったところ。
そもそもはBookwalkerで別の本を探してたら見つけた。きたああああと思って早速購入しようとして、ちょっと待てもしかして…とamazonも確認したら、Kindleになってたのでそちらで購入。11/30付けで、一気に6巻まで出てた模様。年明けにアニメ版も放映されるようですが、それに合わせてかコミック版も出るのね。アニメ版はなかなか狂気をにじませたビジュアルが期待を持たせますが、コミック版もどんな感じなんですかね。「オーバーロード」のコミック版もなかなかクオリティ高くて毎回楽しみですが、…オーバーロードといえば幼女戦記と同じエンターブレインだと思うんだけどまだ電子化されてない?
そしてアニメ化といえばもうOP/EDが決まっていて、OPがなんとオーバーロードでEDを歌ってた「MYTH & ROID」となっていて、あの激しいヤンデレ感が好感だっただけに期待です。ついでにEDはターニャ・デグレチャフ(CV:悠木碧)、つまり主役が歌うのでこちらも期待。2月発売なのでしばらく先だけど。悠木氏といえば数々の作品で芸達者なことには定評あるしどんなターニャを見せてくれるか楽しみです。
そして3巻まで読みかけてる書籍版ですが、web版と比較して若干の相違点もあるような。もともと幼女とタイトルにしつつも萌え要素がほとんど無かった(通常の萌えラノベを100とすると1とか0.5ぐらい?)のが、若干萌え増量(2とか3ぐらいに?)してるような印象が。書籍化するにあたってちょっとは受けを考えたというか、出版社の意向なのかな。それでも作者は「あとがき」でオッサン人気ありすぎと嘆いてるようだけど。

2016/09/28

ヲタクに恋は難しい

カテゴリー: 漫画, 読書 — タグ: — chaba @ 07:49

賛否両論あるオタクラブコメを読んでみた。
2組の社会人オタクカップルが登場し、主人公カップルとそれを見守る立場の先輩カップル、あと主人公カップルの彼氏側の弟を加えた5人がほぼ全ての登場人物。この弟以外の4人がオタクで会話もそれっぽく、彼ら以外ほとんど台詞無いんじゃないのと思うレベル。
全員が美形なのはまあいいとして、問題とされているのは主人公カップルの来歴なのかなあ。彼らは小中学校の同級生だったけど社会人になって職場で偶然再会したところから物語が始まる。彼女のほうは子供の頃から美形で社交的だったようで恋愛遍歴を多数経てきているけど全部オタクがばれる(BL作家でコミケ出るレベルの腐女子)ことで破局してきたんだとか。しかし彼氏のほうはどうやら彼女に対して初恋だったけどそれを叶えられず、再会したところでオタバレして破局しまくることを嘆く彼女に対して「俺にすればいいじゃん?」と持ちかけることで恋愛が始まった、らしい。らしいってのは直接的な描写に乏しいのですよね。まあ仲良くしてるし「彼氏」宣言もしてるので恋愛関係の自覚もあるんだろうけど。で、この彼氏の弟というのも天然美形のなんか癒やし系?みたいなやつなのに彼女おらず。要するに彼氏サイドが「都合のいい男」揃いなのが問題視されてるのかもしれない。彼氏が無口で無愛想なキャラ(しかも一途?)ってのもそれに拍車をかけてるような。おそらくは女性作家なんでしょうけど、まあでも逆に考えてみれば男性向けラブコメでも「都合のいい女」がぞろぞろ出てきますしねえ…
ラブコメ部分はともかく(?)、あちこちに挟まれるネットスラングとかオタクネタがわりと楽しいです。それに主人公カップルの彼女がスレンダーで貧乳なのもよくネタにされていて、彼氏の背後から迫って「あててんのよ」と決闘を挑むような表情で言えば「あたってねえよ」と返されたりとか。この彼女の変顔も見所のひとつか。

2016/08/21

オーバーロード

カテゴリー: 読書 — タグ: — chaba @ 08:29

アニメ「オーバーロード」を先日ようやく見終えた。録画キープはしてたんだけどずーっと見そびれてましたスミマセン。そんなアニメ版はシャルティア騒動を片付けたところで一段落とし、しかしそこで終わらずにシャルティアに仕掛けた側の思惑とかリザードマン集落への布石とか、いろんな場面をチラチラ見せて今後の展開をにおわせまくる状態で締めてました。最終話では排除されていたOPをフルコーラスでバックにかけて。まあ原作が長い長い話でまだ続いてるし、とりあえず3巻まで終えたところでしょうか。リザードマンの話はWeb版にもあったと思うんだけどよく覚えてない。たしかリザードマンたちがひどい目に遭う話だったような気はする。ていうかだいたいの関わった人たちがひどい目に遭うんですけどね。惨殺も少なくない。しかし相変わらずkindle版は出す気配も無い。コミック版は出ているのでkindleで買って読んでいるのですが、まだ単行本ではアニメに追いついてない模様。そして書籍版は10巻まで出ていて、その10巻からいよいよweb版と大きく離れた話になってるそうな。うあー読みたいけど置き場所が無い。9巻か10巻のあたりで、ようやく全体構想の折り返しとか語る原作者のコメントを見たことがあるような。
原作ストックはたっぷりだし、アニメも好評だったみたいだし(BDの売り上げとかはどうなんでしょう?)、2期もそう遠くないのかな。

2016/02/28

フェアクロ完結

カテゴリー: 読書 — タグ: , — chaba @ 05:41

「なろう」に注目するきっかけの1つとなった、「フェアリーテイル・クロニクル」が完結していた。まあまだ後日談とかが続くようなのですが、本編としては終えた形に。以下ネタバレあります。

ラスボスを片付けて現代日本への帰還を果たして、これから後日談として現代日本と向こうとを行き来しつついろいろ今後への片付け?をやっていく模様。ラスト前にパーティ壊滅状態になって何人か死ぬという展開には驚いたけど、そこから復活したらまたいつもの調子で気の抜けた感じが戻ってたのはなんか安心した。今まで名前だけは出ていた春菜の叔母さんがこれから活躍する展開になるのかな。
あとそうそう、ドラマCDが出るらしい。10.5として6/24に…って、10巻で描ききれなかったオリジナルエピソード書き下ろしらしいけど10巻ってどのへんの話なのか、書籍版を追ってないからよく解らんけども。冗長になりがちなweb小説をさらに詳細化してる印象があって、どうもダラダラ感がぬぐえない感じもしてたけどどうなってるのかな。あと書籍版ってイラストがいまいち好きになれないのも難点。嫌いな絵柄じゃないんだけど、なんというかキャラの描き分けに乏しいというか。この手の書籍でいかにも同人界隈から拾ってきました的な絵柄が散見されるのは、ラノベとかで既に活躍してるようなイラストレーターを起用するのはギャラ的に違うんでしょうねえ。そんな中でもいいなと思うのはやっぱり「本好きの下克上」のイラスト。「マギクラフト・マイスター」は可も無く不可も無く、「デスマーチから始まる異世界探訪」はポチタマを可愛くビジュアル化してくれたことでギリギリってところかなあ。「オーバーロード」や「幼女戦記」あたりは緻密で迫力あるけど、あの系統は作風を選びますわね。それと「竜の子を拾いまして」「魔術師は平凡を好む」といった女性向け・女性作家の方面は男性陣が皆判を押したように細長くて目つき悪いのがちょっと好きになれない。このへんはまあ、男性向け作のヒロインが皆やたら肉感的だったりするのと同じなんだろうとは思うけど。でも知性よりガサツさを出してるキャラならもっと細身じゃ無い男も出して欲しいとは思う。とか言ってるとJRPGのキャラはホストみたいなのばっかりだ、という指摘と同じだなというのを前にもここに書いた気がする。だからって米国産シューターみたいにマッチョだらけになるのもちょっと困るけど。
とりあえずフェアクロ、今後も楽しみです。

2015/07/21

オーバーロード

カテゴリー: アニメ, 読書 — タグ: — chaba @ 17:14

アニメ「オーバーロード」2話まで見てみた。漫画版もそうなのだけど、書籍版がベースになってるようでいろいろwebには出てない追加キャラとかあるのね。その書籍版、どうにもkindle化されないようなのでしょーがないから買うかーと思ったらamazonで品切れ。アニメ化と聞いて興味持った人が買っちゃったのかな。うあああ。なんか同じ出版社ではアニメ化されてからkindle化したというパターンもあるとかないとかで、それなりにアニメがヒットしたら出してくれるんですかねえ…
でアニメ、書籍版の重厚な印象がさすがにアニメになると軽い感じになっちゃうなーとは思うけどまあこんなもんかとも思う。でもその中間の漫画(こちらはkindleで出てたので買った)がちょうど良い感じなんですかねえ。ビジュアル化されてそれなりに動きも感じられて。アニメ化の恩恵は何だろう、主人公が重々しい威厳を見せつつも内心はあたふたしてるのが解りやすいところだろうか。まあ配下の美女たちがただの美女じゃなくてあくまでモンスターなんですよというのを見せてくれるのはわりと好感かもしれない。あ、OP/EDはそれぞれ歌いにくそうだけどよさげです。

2015/04/23

「なろう」系書籍

カテゴリー: ライトノベル, 漫画, 読書, 電子書籍 — chaba @ 05:30

最近の「なろう」系でイチオシの「本好きの下克上」書籍版1・2巻が出ていたのでkindleで購入。1巻は以前購入していて加筆部分がなかなかキツいと言及しておりましたが、まだ全部読んでなかったので2巻まで読みました。本編にも加筆されているけど、巻末短編として主人公以外の視点でのエピソードが追加されてたりもしますね。そしてなんと言ってもイラストが素晴らしい。なんとなく漫画っぽいタッチに思える柔らかめの印象なのだけど、主人公マインのちっこくて愛らしい感じが凄くイイです。主人公が私の天使と言ってはばからない姉トゥーリもイラストでの出番は少ないけど可愛いし。今まで見てきた「なろう」系書籍の中では群を抜いてレベル高い感じ。そして第1部が2冊でも終わらなくて3巻まで行くのかな。webでは4部の途中なんだけど、「下克上」でどこまでのし上がっていくのか。最終的にどこに着地するのか、今後も楽しみです。

同じく「なろう」系書籍として「デスマーチから始まる異世界狂想曲」のコミック版が出ていたのでこれもkindleで購入。最初の街でリザポチタマと出会い、ダンジョンに閉じ込められるところまでですね。コミカライズ担当の「あやめぐむ」氏ってアルトネリコのコミカライズもやってなかったっけ。ファンタジー系原作有りコミカライズを得意としてるのかな。風景やファンタジー系モンスターなどは緻密に書き込まれて世界描写はイイと思うのだけど、正直キャラ造形があまり好みで無かったりもする… まあ書籍版のイラストもなかなかアクが強い感じなのであのタッチでコミカライズされても困ったかもしれませんが。しかし両者ともポチタマの造形はなかなか良いんじゃないでしょうか。まあ作中の萌え・癒やし担当なのでそのへんは作画方面も心得てるってところですかね。漫画だとその手のキャラがより活きてくると思う(主人公らがいろいろやってる場面の後ろでなんかおかしな動きしてたりとか)ので活躍に期待。書籍版でも表紙とかに小さく存在を主張してたりするしw

2015/03/22

本好きの下克上

カテゴリー: 読書, 電子書籍 — chaba @ 05:46

最近「なろう」系で読んでいるのが、「本好きの下克上」。300話を越えて日々連載続行中で、とりあえず140話ぐらい読んだところ。いわゆる異世界転生系なのだけど、いきなり主人公が死にかけてる。ていうか熱病で死んだ幼女に入れ替わりで主人公(卒業・就職目前の大学生)が入り込むところから始まります。タイトルに下克上ってあるぐらいなのでどん底から始まります。貧乏虚弱で生きるのが精一杯の環境でどうにか本を作ろうとする本好きの奮闘。平穏進行時にはいろんなモノを工夫して作るんだけど、「マギクラフトマイスター」とか「フェアリーテイルクロニクル」みたいにほいほい便利道具を作れるわけでなく、貧乏で材料や道具もまともに無い上に虚弱幼女なので非力で、なんとか工夫したり他者の協力を得たりしつつ本作りに邁進していくのは読んでて高揚します。なんだけど、次々に襲いかかる困難・試練がなかなかキツい。なにしろ貴族社会、貧乏平民の訴えなんて普通じゃ通らないし、何か問題が起きたら全部権力に押しつぶされるような世界なんである。さらに非力で虚弱な主人公の物理的弱さもあってとにかく大変。社会的にも物理的にも弱者な主人公がどうにかこうにか生きのびていく感じ。いや基本的には重苦しい話じゃないんですけども。時折襲い来るヘビーな展開がわりとキツいのです私には。これは偏見かもしれないけど、作者は子持ちの女性らしいのだけど、女性作家特有の容赦なさのようなものを感じてしまいます。男性作家ならもっと幼女優遇というか、もっとほのぼのファンタジーな路線に行きそうな気もする。ラノベの読み過ぎか。でも基本的に文章も上手いと思うのでついつい引き込まれてしまいます。先が気になって仕方ないのでついつい目次をざーっと見てだいたいの展開を把握してしまったりもする。だっていろいろ怖いんですもの。貴族社会怖い。ていうか貴族とか神殿(宗教)って、本当にもう基本悪徳な描かれ方がメインですよね… 貴族は基本強欲・無慈悲で、神殿も同様。宗教が悪徳になりがちなのは何故なんだろうと常々思ってましたけど、この話だと貴族の本家からあぶれた人たち(次男以降だったり家督闘争に敗れたり)によって上層部が構成されてる(ちなみに下層は孤児なので差別がくっきり)ということになってるのでいろいろ腑に落ちた。実際の中世欧州とかもそんな感じだったんですかね。この話は他にも主人公らの生活構成とか、風俗描写が非常に細かくて生き生きしている印象。さらに文章も整っていて「なろう」系で散見される粗さをほとんど感じない(誤字脱字はあるけど)のでなかなかレベル高い話なんじゃないかなとは思う。レベル高いので既に出版も始まっていて、既に2巻まで出ている模様。kindleで買ってみたけどイラストも綺麗。主人公マインの美少女っぷりも家族や周囲の人たちもなかなか素敵。なるほどこのビジュアルなら移動時に大人が抱き上げる(虚弱で体も小さいので歩くのが極端に遅い)のも納得だわ。しかし冒頭からかなり加筆された感じでいろいろ加わっており、転生のシーンではweb版ではいきなり病弱な子供になっちゃってるんだけどナニコレ!?みたいな感じだったけど、書籍では「前の魂」の臨終を看取るような場面に出くわしてしまう。さらっとした描写だけど、これ結構キツい。何とも思わないとさらっと流すシーンなのかもしれないけど。今後貴族絡みその他でいろいろ苦しめられるシーンとかも書籍化で強化されはしないかと戦々恐々としております。なんていうか、ずっと話は続いているのでなんだかんだで切り抜けて生き延びているんだろうけど、運良くうまく切り抜けられたシーンとかが「うまくいかなかった」らどうなってたんだろうってのを想像してしまうとさらにキツい。貴族に絡まれて、上手く切り抜けられなくて、しかし強大な魔力の暴走で相手を傷つけることで逃げ延びて、追われるように街から脱走して、森の奥に潜んでいたらやがて魔物として討伐される…みたいな展開も妄想してしまってキツい。上述の生産チート系作品だったら楽勝で切り抜けられるような展開でも、それがうまくいかなかったら…とかついつい悪い妄想が暴走しがちなのです。その「うまくいかない話」をあえて表に出した作として思い出すのが「空が灰色だから」だけど、ついうっかり読んでしまったそれはなかなかキツかった。
とりあえず「本好きの下克上」はなかなかキツいけど非常に面白いので困っています。いや気にしない人には全然キツく無いと思うし、私的にキツいシーンも1〜2割程度じゃないかとは思うけど。

2015/02/08

「なろう」系雑感

カテゴリー: ライトノベル, 読書, 電子書籍 — タグ: — chaba @ 05:22

相変わらず暇さえあれば「なろう」系を読んでたりしますが、まあ所詮は素人の集まりなので玉石混淆なわけです。非常に魅力的な作がたくさんある一方でそうでない作も散見。特に内容よりまず文体に引っかかってしまう作に出会うと残念感が増してしまう。たとえば句読点を全く打つ気が無いような作とか。コレおそらくほとんど読み直ししてないんだろうなと思う。あふれる想いをぶつけまくった感じはして勢いめいたものも感じなくは無いのだけど、とにかく読みづらい。あと最近見た某作では「!」が多すぎてやたらと暑苦しいというか無駄に圧迫感さえあったりもする。「ふと見るとコソコソ!と逃げようとするのを見つけた!」みたいな、とにかく強調したいところに!を付けまくっていて、全然コソコソしてねえよ!とこちらも付けたくなるぐらい。こういった文体が目についてしまうと、物語の先は気になるのに文章自体からの違和感・不快感が先に立ってしまって読む気を無くしてしまうレベル。
そういう意味では夢中で100話200話も読み通してしまう作にもしばしば出会えるのは幸運だと思います。

愚痴だけじゃなんだから好感のほうも書いておこう。長期連載停止になってる作で続きが読みたいのが「月が導く異世界道中」。転生主人公無双系なんですが周りを固めるキャラ達が魅力的なのです。なんかリアルが大変とかプロット尽きたとか言ってた様な気がする。でも書籍5巻が出たようでそれに伴って該当部分をダイジェスト化することで久々に手が入ったようだし、活動自体は継続していくことを期待。
しかしこの作も出している出版社、他にも多数「なろう」系を出しているのだけど、kindleに出してくれないのである。どうも自社独自に電子書籍を出してるようだけど、それがフィーチャーフォンいわゆるガラケーに限られたサービスのようで、しかも今作に限ると2巻までしか出てないという中途半端ぶり。このへんなんとかならんものか。他の出版社でもkindleに出すけど書籍より1ヶ月遅れとかもあるし、そのぐらいなら待ちますから是非…

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