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2015/03/22

本好きの下克上

カテゴリー: 読書, 電子書籍 — chaba @ 05:46

最近「なろう」系で読んでいるのが、「本好きの下克上」。300話を越えて日々連載続行中で、とりあえず140話ぐらい読んだところ。いわゆる異世界転生系なのだけど、いきなり主人公が死にかけてる。ていうか熱病で死んだ幼女に入れ替わりで主人公(卒業・就職目前の大学生)が入り込むところから始まります。タイトルに下克上ってあるぐらいなのでどん底から始まります。貧乏虚弱で生きるのが精一杯の環境でどうにか本を作ろうとする本好きの奮闘。平穏進行時にはいろんなモノを工夫して作るんだけど、「マギクラフトマイスター」とか「フェアリーテイルクロニクル」みたいにほいほい便利道具を作れるわけでなく、貧乏で材料や道具もまともに無い上に虚弱幼女なので非力で、なんとか工夫したり他者の協力を得たりしつつ本作りに邁進していくのは読んでて高揚します。なんだけど、次々に襲いかかる困難・試練がなかなかキツい。なにしろ貴族社会、貧乏平民の訴えなんて普通じゃ通らないし、何か問題が起きたら全部権力に押しつぶされるような世界なんである。さらに非力で虚弱な主人公の物理的弱さもあってとにかく大変。社会的にも物理的にも弱者な主人公がどうにかこうにか生きのびていく感じ。いや基本的には重苦しい話じゃないんですけども。時折襲い来るヘビーな展開がわりとキツいのです私には。これは偏見かもしれないけど、作者は子持ちの女性らしいのだけど、女性作家特有の容赦なさのようなものを感じてしまいます。男性作家ならもっと幼女優遇というか、もっとほのぼのファンタジーな路線に行きそうな気もする。ラノベの読み過ぎか。でも基本的に文章も上手いと思うのでついつい引き込まれてしまいます。先が気になって仕方ないのでついつい目次をざーっと見てだいたいの展開を把握してしまったりもする。だっていろいろ怖いんですもの。貴族社会怖い。ていうか貴族とか神殿(宗教)って、本当にもう基本悪徳な描かれ方がメインですよね… 貴族は基本強欲・無慈悲で、神殿も同様。宗教が悪徳になりがちなのは何故なんだろうと常々思ってましたけど、この話だと貴族の本家からあぶれた人たち(次男以降だったり家督闘争に敗れたり)によって上層部が構成されてる(ちなみに下層は孤児なので差別がくっきり)ということになってるのでいろいろ腑に落ちた。実際の中世欧州とかもそんな感じだったんですかね。この話は他にも主人公らの生活構成とか、風俗描写が非常に細かくて生き生きしている印象。さらに文章も整っていて「なろう」系で散見される粗さをほとんど感じない(誤字脱字はあるけど)のでなかなかレベル高い話なんじゃないかなとは思う。レベル高いので既に出版も始まっていて、既に2巻まで出ている模様。kindleで買ってみたけどイラストも綺麗。主人公マインの美少女っぷりも家族や周囲の人たちもなかなか素敵。なるほどこのビジュアルなら移動時に大人が抱き上げる(虚弱で体も小さいので歩くのが極端に遅い)のも納得だわ。しかし冒頭からかなり加筆された感じでいろいろ加わっており、転生のシーンではweb版ではいきなり病弱な子供になっちゃってるんだけどナニコレ!?みたいな感じだったけど、書籍では「前の魂」の臨終を看取るような場面に出くわしてしまう。さらっとした描写だけど、これ結構キツい。何とも思わないとさらっと流すシーンなのかもしれないけど。今後貴族絡みその他でいろいろ苦しめられるシーンとかも書籍化で強化されはしないかと戦々恐々としております。なんていうか、ずっと話は続いているのでなんだかんだで切り抜けて生き延びているんだろうけど、運良くうまく切り抜けられたシーンとかが「うまくいかなかった」らどうなってたんだろうってのを想像してしまうとさらにキツい。貴族に絡まれて、上手く切り抜けられなくて、しかし強大な魔力の暴走で相手を傷つけることで逃げ延びて、追われるように街から脱走して、森の奥に潜んでいたらやがて魔物として討伐される…みたいな展開も妄想してしまってキツい。上述の生産チート系作品だったら楽勝で切り抜けられるような展開でも、それがうまくいかなかったら…とかついつい悪い妄想が暴走しがちなのです。その「うまくいかない話」をあえて表に出した作として思い出すのが「空が灰色だから」だけど、ついうっかり読んでしまったそれはなかなかキツかった。
とりあえず「本好きの下克上」はなかなかキツいけど非常に面白いので困っています。いや気にしない人には全然キツく無いと思うし、私的にキツいシーンも1〜2割程度じゃないかとは思うけど。

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