「なろう」作の「竜操者は静かに暮らしたい」、転生ではないけどわりとチートな戦闘能力を持つ主人公のファンタジー。竜が独特の立ち位置を持つ世界での各国の対立や紛争が語られるもので、650話を越える長編なのだけど各話は短めで完結まで読み切りました。とにかくチートな戦闘能力でいろんな騒動を解決したりしなかったりするのですが、当人は実家のパン屋稼業に大の愛着を持っていて、別の土地でもパン屋でバイトするのを魂の休息としてるような人物。緊迫する戦闘も多いのだけど全般的に他人事のような、あまりに冷静な姿勢(冷徹ではなくただ淡々と)でことに当たるのが印象的。そしてだんだんと話が大きくなっていきます。しかし幕切れは、カタルシスはなかなかあったと思うけどなんだかあっけないというか余韻を味わう余地があまりないうちに終わってしまった感じ? 他の作品だと後日談的なものがわりと続いてたりするからそれがあまり無いのが物足りないのかな。
なかなか好感だったので書籍も出てたら買おうかなと思ってみると、1巻だけ出ているようです。しかしKindleでは出てないので保留。いちおう完結しているけどなかなか長いので全部で何巻になるのかなーと思いつつ読み進めると、どうも出版社側の都合で続刊は出ない、どころかレーベル廃止なんだとか。それで出版権は放棄されていて他社からの引き合いもあるのだけど、既刊の市場在庫がまだある状態で新しいレーベルから同作を出しても流通に嫌われるんじゃないかなーという話で保留になってるらしい。このあたりの裏事情を作者自ら明らかにしてくれるのも珍しいと思いますが、そういう状況じゃ電子書籍も出ないわけですよね… 新レーベルで電子書籍だけでも出してくれたら買いたいのだけど、物理書籍無しってわけにもいかないのか。ほとぼりが冷めたら出したいなあとも言われているので、期待しないで待つことにしよう。イラストも「蜘蛛ですが何か?」の人みたいで、独特の色使いと緻密なタッチが好感なだけに見てみたいのだよなー。しかしリアル書籍は置き場所がなあ…