山本弘「アイの物語」を読んだ。いちおうSF短編集なのだけど、未来世界でアンドロイド女性が人間男性に読み聞かせる一連の話という構成になっています。アンドロイドらメカ社会に対立する存在として囚われた男性が話を聞かされるうちに世界の真実に近づいていき…といった感じ。
面白いのは、作中で語られる短編が「これも事実と違う創作だけどね」的に語られること。しかもリアルでの初出が微妙に前後していて、作者が最初からこの構成にまとめる意図があったわけでもないのかもと思わせること。そしてその内容が仮想空間とかAIとかロボバトルといった、現代のゲームでよく扱われる素材(技術的にもテーマ的にも)だったりして、なおさら興味を惹かれます。ていうかオンラインゲームとか仮想空間とかやってる人は絶対読むべき…というか、かなり感じるところがあるんじゃないかという話。
以下若干ネタバレ含む感じ。核心には触れない予定。
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小川一水「天冥の標」が面白くて既刊3冊を一気に読んでしまった。面白いっていうかかなり凄惨な話だったりもするんだけど、引き込まれまくり。
既刊3冊は「I・メニーメニーシープ」が上下2冊、「II・救世群」が1冊です。作者氏が「次は3巻」と言ってるので、現行は3巻じゃなくて2巻3冊ということみたい。でその1巻のほうは西暦2800年代、現代地球の延長線上にある惑星開拓先での話。2巻でほとんど現代の地球、それも日本中心の話。かなり時間が飛んでるんだけど、1巻での事件の原点を2巻で追うような流れです。で2巻のほうで後の時代になる1巻で出てくるような用語等がちらほら姿を見せ、やんわりとした繋がりを感じさせます。このへんは大長編モノの醍醐味でしょうか。
全10巻を刊行予定で、この夏に出るという3巻が待ち遠しいところです。だいたい半年ごとの刊行なのかな。となると完結は4年後か…
小川一水というと「時砂の王」で引っ張り込まれて「第6大陸」「老ヴォールの惑星」「復活の地」と立て続けに読んだものでした。それぞれ面白かったのだけど、普段あまり本読まないのに一気に読んだせいかそこらへんで力尽き、しかし久々にまた読んでみたら面白かった次第。
以下ネタバレとアフィリエイト。
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