酸素マスクを付けられる。
「点滴で入れていきますよー」と声をかけられる。
「はい深呼吸してくださいー」。ゆっくり呼吸する。だんだんぼわーっとしてきて感覚が怪しくなってきて、ああ効いてきてるんだなーと思う。目を開けたままでも気色悪いだろうと思って自分で目を閉じる。緊張感は高まりっぱなしだけど努めてゆっくり呼吸する。ぼわーっとした感じがどんどん強くなる。それでも周囲の声は聞こえている。医師や看護師が指示をだしたり復唱したりするのがはっきり聞こえる。そういえば臨終の時も聴覚は最後まで残るとか聞いたことあるなあ。何となく手を動かしてみようとするけど動かない。全身どこも動かない。いよいよ効いてるんだなーと思いつつ、どんどんぼわーーーっとした感覚に飲み込まれ…
突然喉の奥深くにとんでもない異物感を覚える。激しく咳き込もうとして、それがずばっと抜かれる感覚で意識を取り戻す。すぐに酸素マスクが当てられる。「はい深呼吸してください」「全部終わりましたからねー」という声がかけられ、手術終了を知る。とりあえず呼吸に専念する。終わったんだよかった。「自分で呼吸できるまで挿管抜けないですからねー」。全身麻酔中は呼吸もできてないのね。
もともと口内の異物感にはものすごく弱いので歯科医とか胃カメラとかもう全力で回避したいところで、それだけあって全身麻酔だと喉に挿管するってのは普通に怖かった。それをずばあっと抜かれる感覚で目を覚ましたというのは、抜かれるスッキリ感もあったけど異物感の不快感は最強でした。
そんな全身麻酔の記憶。まあかけられてる間は解らんですものね。終わったら3時間近く経過してた模様。終了後しばらくは酸素吸入を付けてたんだけど、あれってどうも「おいしくない」のだ。においだったか乾燥ぶりだったか、とにかくあまり吸っていたくない感じだったので早々に外してもらった。血中酸素もまあ異常なさげでしたし。
術後の経過はわりと順調です。手術自体の記憶はもちろん無いのだけど、何が辛かったって当日丸1日食事抜きなのが辛かった。