三島浩司「ダイナミックフィギュア」読んだ。分厚い単行本が上下巻のSF。異星からの飛来体に対抗するために開発された十数メートル程度?の巨大ロボットがダイナミックフィギュアで、それを巡る様々な人間ドラマ。登場人物がなかなか多くて、しかも場面場面でそれぞれの主観で語られるものだから、その場面によって誰視点で語られてるのか一瞬解らんこともあったりする。意図的にやってるらしい解りづらい文体もあって、ちょっと読みづらいところがあるのは正直なところ。私みたいに読解力に欠ける自覚がある者にとってはなおさらです。ライトノベルと違って文体も堅いし。いちおう日本が舞台なので登場人物の大半が日本人だというのがまだ救いか。これが全部カタカナ名だったらもうわけわからんだろなと。
基本は戦争ものなので人が死んだり苦しい局面が多々です。そこへきて様々な人間の欲望やら思惑やらが入り乱れるので、気分よくないシーンも多々。それでも時折ぐっと熱いシーンがあったりして、各所でいろいろ盛り上がるところもある。それでぐぐっと盛り上げておいて、ぷっつりとシーンを終えたと思ったら次のシーンでは数時間とか数日とか数年とか経過していて、あの後こうなって…みたいに後日談を語られることがわりと目立った気もする。まあでもただでさえ長い話なんだから、場面場面をきっちり描いていたら上下巻じゃ済まなかったかもなと思ったりもする。
ラノベじゃないので挿絵も入らず、ビジュアルを提示しているのは表紙だけなんですよね。それも硬質なロボが描かれているだけ。ガンダムというよりはフロントミッションとか鉄騎みたいな、戦車の延長のような無骨な兵器然としたロボです。人物も外見描写がほとんど無いのが印象的で、頭の中ではいろいろ妄想しながら見てました。もしかしたらアニメより実写特撮が向いてるのかもしれないけど、日本の特撮じゃアレなのでやっぱりCGをふんだんに入れたアニメのほうがいいのかしら、とも思ったりする。なんと言うかCGの活用により特撮の見栄えも良くなったはずなんだけど、日本の実写特撮ってそのロボとかいかにも特撮なシーンはそれなりにいいんだけど、研究所内とか宇宙船内みたいな非日常の室内描写がものすごく嘘くさい印象が拭えない。屋外でのシーンもいかにもスタジオに見えたりとか。うまく説明できないんだけど現実感がなさすぎというかしっくり来てないというか、うまく嘘をつききれてないというか? 「ガンヘッド」の頃は、ロボの造形はすげえ!でもミニチュアをがちゃがちゃやってるようにしか見えねえ!という感じだったけど、近年はCGによりそのへんはだいぶ良くなったと思うのです。しかしソレ以外が残念感漂いまくりでのめり込めない。「のぼうの城」では夜間水上のシーンがセット内に見えてスケールダウン感甚だしかったし、「ガッチャマン」の予告編見てもバトルシーンはよさげだけどソレ以外が何ともテンションダウンさせてくれそうな感じ。この突然しょぼく見えて冷める感じ、洋画でも時折見られます。このへん何なんでしょうね、空気感ってやつ?
なんだか特撮への愚痴になってしまいましたが、ダイナミックフィギュアはなかなかの読み応えでした。物語自体はハードで重厚です。アニメにするならラノベだと2冊で1クールってとこかもしれませんが、これは分厚いし濃いので2クールぐらい要るかも…