chaba log2

2010/07/16

天冥の標Ⅲ

カテゴリー: 読書 — タグ: — chaba @ 08:58

小川一水「天冥の標Ⅲ アウレーリア一統」を読んだ。全10巻予定の3巻にあたるもので、2300年代の宇宙海賊討伐物語といったところか。

以下ネタバレを含むので伏せ。


「Ⅰ」が2800年代、「Ⅱ」が現代地球(の主に日本)を舞台とするので100年単位で間が開いてますが、物語は繋がっています。といってももちろん共通の人物が出てくるわけではなく、子孫だったり人外の存在だったりですが、一番大きいのは病気の存在か。「Ⅱ」でその未知の感染症との闘いがメインテーマなのだけど、それに感染しつつも低確率で生き残った保菌者らが隔離・差別されつつ舞台が宇宙に出ているのが今回の「Ⅲ」。強力な武器を得て反乱を起こす保菌者らとそれを横取りしようとする海賊、それらを抑えようとするのが今回サブタイトルにもなっている「アウレーリア一統」。人体改造により無酸素でも活動できるという一族ですが彼らはその先の時代になる「Ⅰ」にも主要メンバーとして登場します。
まあそんな感じで繋がっている現在までの3作ですが、「Ⅱ」で壊滅的に始まった物語ですがなんとか感染症とも折り合いをつけつつ宇宙に広がっている人類が「Ⅲ」では描かれます。「Ⅰ」もかなり壊滅的というか世界がどうなってるのかよく解らん状態で終わってますが、「Ⅲ」は比較的話が明るいというか前向きなような印象も。アウレーリアの人たちが全般に明るくたくましく会話も軽妙なせいもあるのかな、何より終わり方がちょっと明るい兆しを感じさせるものだからでしょうか。
あと病気とともにシリーズを通して存在しているのが「被展開体」と表記されているAIみたいなモノ?で、これにより「Ⅰ」に出てきていた機械を内蔵する羊が作られる発端を今作の最後で窺えます。
ともかく今作は全般に海賊討伐冒険譚な感じでわりと読後感スッキリなんだけど、これまでの「Ⅰ」「Ⅱ」がわりと救えない感じだっただけに、この先どうなって「Ⅰ」の世界に繋がるのかが気になるところ。ていうか「Ⅰ」の世界がどういう構造なのかが未だに解らんというか明らかにされてないし。最終盤で登場する悪魔的な生物たちは感染者のなれの果てなんだろうかとは思うけど。来春刊行予定という「Ⅳ」は「機械仕掛けの子息たち(仮)」というサブタイトルになるようで、羊に機械を入れるようなその辺の話になるんだろうか。それとももっと先のこと?
とにかくどんなところへ連れて行ってくれるのか、今後も楽しみです。

コメントはまだありません »

コメントはまだありません。

このコメント欄の RSS フィード トラックバック URL

コメントをどうぞ

Powered by WordPress