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[ 感覚の相違 ]
DVD付きの「最後の授業」を買って、とりあえずDVDのほうを見てみた。末期ガンに冒された大学教授が最後の授業を行うもので、いかにして自分が子供の頃の夢をかなえたかを主題に。
同じようなテーマで日本人がやると淡々と感動を盛り上げていくような形になりそうだけど、これは教授本人の個性にもあるんだろうけど悲壮感がほとんどなくてむしろ笑いがあちこちに出てくる講義になってます。それでいて時折深い深刻なメッセージを挟んできたりするから油断できない。全体に楽しませることを重視した作りなので(ずっと字幕だけど)最後まで飽きずに見られました。
で書籍のほうも読み始めているのだけど、こちらは講義の前後からその後に至ることをいろいろ書いているようです。まだ全部読んでない。

そのDVDのほう、全体的には楽しめたんだけどどうしても気になる箇所があった。
教授はVRの専門家で今みたいに3DCGが発展してない頃からずっと関わってた人のようで、ディズニーのアトラクションも作ったりしてるようです。そんな教授なので大学では学生にVRを使った研究発表をやらせるわけで、その成果の1つが例として映像に出てきました。モニタゴーグルをかけてデータグローブをつけた手を動かすと何も無かった仮想空間内で手が動いたところに建物や木がどんどん建っていって、その空間にぽつんといたCGキャラが徐々に賑やかになる世界に喜んでました。何年も前の作品だからCGも今のゲームと比べればショボイのだけど、ワイヤーフレームからポリゴンモデルになって色が付いて賑やかになっていって、最後にはキャラクターもわっと増えて皆で歌って踊るような状況になってました。すると映像の中で操作していた人が、じゃあおしまいねと言うと教授は「ここからが面白い」。何が起こるのかと見ていたら仮想空間内のキャラが世界の実行終了を拒否…するんだけどもちろんできなくて終了コマンドが実行、それがただ終わるんじゃなくて世界の破壊まで見せてくれます。せっかく賑やかに踊っていた連中は嵐に吹き飛ばされて地面に叩きつけられ、色を持っていた世界はまたワイヤーフレームに戻ってさらに分解され、キャラのひとりは絶望した表情で自らの頭部に短銃をパンパン撃ちまくる。…阿鼻叫喚の地獄絵図です。かわいい造形(まあアメリカンテイストですけど)のキャラが残酷な扱いをされてるのは見てられない状況でした。しかも観客がそれを見てゲラゲラ大受けなのだ。教授が言っていたように、こういう暴力的な展開が向こうの人には楽しくて仕方ないようです。最後には最初からいて世界の発展を無邪気に喜んでいたあのキャラが、「愛していたのに…」と切ない言葉を残して画面外に吹き飛ばされてました。そこまでやるか。そして笑うか。
日本人はアトムやドラえもんのように、ロボットも親近感を持って接するイメージを持っているけどアメリカ人はもっと使役道具的なドライなイメージだというのは以前から聞いていましたが、それを痛感させられる映像でした。コレで行くと今現在のミクブームみたいなのもなかなか理解されないのかもしれませんね…
2008-07-02 20:30:01
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